色が与える心理効果～デザインには欠かすことのできない無彩色、黒と白～

私たちの生活の中は様々な色が溢れています。
世の中にあるモノ全てに何らかの色が付いおり、配色で人は様々な心理効果をもたらします。
普段の生活する中で私たちは無意識に色に誘導されていますが、逆に言えば色彩の作用を知っていれば人々を思うように誘導することも可能となります。
今回ご紹介する「黒」や「白」は色とは言わないと思われている方も多いかもしれませんが、デザインする上では非常に重要な色ともいえます。
皆さんが思われている色味があるものは「有彩色」と言われているのに対し、黒や白やグレーといった色は「無彩色」と言います。
有彩色は色の三属性である色相・明度・彩度があるのに対し無彩色には「明度」しかありません。
モノクロのデザインなどを作る時は黒から白までの明るさのみを調整しながらデザインしていきます。

重厚感・高級感・引き締まったデザインになる「黒」がもたらす心理効果

黒は周りの色を遮断し、全てを吸収してしまう反面、周りの色を引き締め、目立たせる効果があります。
他の色に与える影響が非常に強く、有彩色を組み合わせると黒のイメージが上乗せされてしまいます。
どこか陰湿で負のイメージが一般的にある為、扱い方も難しい色とも言えるでしょう。

黒色がもたらす心理効果としては以下のような事が期待できます。
・強さ、圧力、権力を高める
・重厚感をもたらす
・高級感を与える
・死を連想させる
・自己主張を強くする
・暗い気持ちになる

どことなく暗くマイナスのイメージが付いてくる色ですが「威厳・権威・重厚感」といった圧倒的な存在感を放つ色ともいえます。
また重厚感をもたらす代表的な色として用いられ代表的なものとして「車」があります。
リムジンや高級車、タクシーといった車は一際大きな存在を植え付ける為、黒光りのカラーにしているものだと思われます。
そして最近はよく見かけるのが高級感あふれる黒の軽自動車。
本来、軽自動車というのは車体も安く、燃費も良く、経済的という理由で売り上げを伸ばしてきました。
しかし、安い、頼りない、壊れやすいというイメージが付いてきます。
それを払拭する為に黒のボディを採用し、高級感・安全性といったイメージを購入者に与えています。
黒の軽自動車が増え続けている理由としては
「高級車に乗りたいが経済的に余裕はない・・・けど安っぽいのは嫌だ！」
といった今の景気と消費者心理によるものだと思われます。

黒を使ったデザイン活用術

デザインで黒を使う狙いの大半は重厚感や高級感といった所です。
商品やサービスを重厚に見せるという事は絶対の自信があるという表れでもあり、「本物」であるというイメージを植え付けます。
一際存在感が出る色だけあって絶対に自信があり、信頼を得たい時などには有効な色です。
また自己主張を後押しする効果をもつので強いメッセージを伝えたい場合は黒の背景に白や赤のメッセージを入れると強烈な印象を残すことができるでしょう。

しかし黒色はデザインする上で非常に難しい色ともいえデメリットも多々あります。
人を暗い気持ちにさせたり老化を促進させてしまう効果があります。
また不安や恐怖、絶望感を抱かせる色でもあり死を連想させる色でもあります。
保育園や学校と行った教育関係や、エステや美容室といった美容系の業種に黒を使われることはほとんどありません。
例えば病気を治す病院で黒色を使用すると恐怖感にかられ誰も行きたくはならないですよね。
使い方を誤ると、マイナスのイメージをもたれる事があり、かえって逆効果に働く場合がございます。

 

純粋・清潔・始まりの色、「白」がもたらす心理効果

同じ無彩色ではありますが上記でご紹介した黒とは正反対の位置にいるのが「白」です。
全てを吸収してしまう黒に対し、白は全ての光を反射し最も明るい色です。
純粋・清潔といったクリーンな印象を与え、とても好感度が高まる色ともいえます。
白色がもとらす心理効果としては以下のような事が期待できます。
・清潔な印象を与える
・実際の重量より軽く感じさせる
・奥行や広さを感じさせる
・始まりを感じさせる
・気分を明るくさせる
・冷たさを感じさせる

白色を使った代表的なものが結婚式の花嫁衣装にも使われるウェディングドレスです。
白のウェディングドレスを着用する事で純粋・無垢・清潔といった明るいイメージをもたせるとともに始まりのスタートと来賓の方に印象付けさせる事ができます。
清潔なイメージを必要とする病院関係は多くのものが白で統一されています。
医師や看護師の白衣や内装、看板など基本的には白で統一されていることがほとんどだと思います。

引越し業者が荷物を詰める段ボール何故白いかご存知でしょうか？
通常の茶色い段ボールの方がコスト面ではずっと安いはずです。
それは白色には実際の質量より軽く感じさせる効果があります。
清潔感というイメージも当然ありますが、白の段ボールに変えるだけで荷物が軽く感じ、実際に作業効率があがるのです。

白を使ったデザイン活用術

自己主張の強い黒に対し白は周りを引き立たせる効果があります。
また閉塞感を軽減する事ができ、デザインする限られたスペースを広く見せる事ができ空間を大きく演出する事ができます。

デメリットとしては主張の強い色ではないだけにインパクトのない無難なデザインになりがちです。
どこかでメリハリをつけなければメッセージ性のない無難なデザインになりがちなのでご注意を。
また喪失感を表す色でもあり無機質で冷たくとらえられてしまう場合があります。
こういった場合は、オフホワイトといってただ真っ白にするのではなく少し黄色や青などの明るい色味を加える事で暖かみ等を表現する事ができます。

　

本日のまとめ

無彩色と言われる黒や白は色味がないだけに使い方は非常に難しく、意図的に取り込むのは上級者向けと言えるかもしれません。
しかしデザイン一層引き立たせるためにはなくてはならない色であり、まったく違った印象のデザインに仕上がると思います。
黒と白の心理効果をうまく活用して積極的に取り入れてみましょう！！

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